Tシャツ、パーカー、スポーツウェアにプリントや刺繍を入れるOEMでは、加工そのものよりも「どのSKUに、どの図稿を、どの位置へ入れるのか」の引き継ぎでミスが起こりやすくなります。白だけロゴ色を変える、子供サイズだけプリントを小さくする、袖刺繍は一部カラーだけ外す。こうした条件が増えるほど、メールやチャットだけでは情報が散らばります。この記事では、プリント・刺繍入りSKUを量産へ進める前に作りたい加工指示書と、色・サイズ・位置ずれを防ぐ確認表を工場目線で整理します。
加工ミスは「技術」より「引き継ぎ」で起こる
プリントや刺繍は、加工方法を選べば終わりではありません。同じロゴでも、本体色が白か黒か、サイズがSかXLか、胸か背中か袖かによって、見え方と加工条件が変わります。さらに、初回OEMで色数やサイズ数を広げると、1つのデザインに対して複数の加工データが必要になることがあります。
たとえば「全カラー共通ロゴ」と言っていても、濃色だけ白インクを敷く、淡色だけ線を細く見せる、刺繍糸を本体色に合わせる、子供サイズだけ位置を上げる、といった判断が入る場合があります。ここを曖昧にしたまま進めると、サンプル段階では気づけても、量産前の修正に時間がかかります。
プリント、刺繍、染色、特殊加工などをまとめて検討する場合は、早い段階でアパレル二次加工サービスのように、加工方法と確認項目を分けて相談できる体制があると進めやすくなります。
SKU別加工仕様表に入れたい基本項目
加工指示書は、きれいな資料である必要はありません。重要なのは、工場側が「このSKUはこの加工でよい」と迷わず確認できることです。最低限、以下の項目を一枚にまとめます。
| 項目 | 記入する内容 | 確認の目的 |
|---|---|---|
| SKU / 品番 | 商品番号、カラー、サイズ、販売名 | どの商品にどの加工を入れるかを特定する |
| 加工方法 | シルクスクリーン、熱転写、昇華、刺繍など | 素材との相性と工程を確認する |
| 加工位置 | 左胸、背中、右袖、裾、ポケット上など | サイズごとの位置ずれを防ぐ |
| 加工サイズ | 横幅、縦幅、原寸データ、代表サイズ | 大きすぎ・小さすぎを防ぐ |
| 色指定 | DIC、PANTONE、CMYK、刺繍糸色、現物見本 | 本体色との見え方をそろえる |
| データ名 / 版数 | ファイル名、更新日、バージョン、確認者 | 古いデータで加工するミスを防ぐ |
| 検品項目 | 位置、傾き、色差、剥がれ、糸処理、裏当て | 量産後に見る基準を先に決める |
一枚で引き継ぐSKU別加工仕様表
以下は、Tシャツやパーカーのプリント・刺繍入りSKUで使える確認表の例です。実際の数値や加工可否は、素材、デザイン、加工方法、工場設備によって変わるため、サンプル段階で現物確認することが前提です。
| SKU | 本体色 / サイズ | 加工 | 位置 | 色指定 | データ名 | 承認状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| TS-01-WH-M | 白 / M | 胸プリント | 左胸 | 黒インク | logo_front_v03.ai | サンプル確認待ち |
| TS-01-BK-M | 黒 / M | 胸プリント | 左胸 | 白インク | logo_front_white_v02.ai | 色見本確認済み |
| PK-02-GY-L | グレー / L | 袖刺繍 | 左袖口 | ネイビー糸 | emb_sleeve_v01.dst | 刺繍サンプル確認待ち |
| SP-03-NV-140 | ネイビー / 140 | 背番号プリント | 背中中央 | 白インク | number_back_kids_v02.pdf | 位置図確認済み |
表の目的は、完璧な管理システムを作ることではありません。誰が見ても、どのSKUにどの加工データを使うのかが分かる状態にすることです。追加色を増やす場合は、Tシャツ・パーカーOEMの色展開と色見本確認と同じように、主力色と追加色を分けて確認すると判断しやすくなります。
ファイル名とバージョン管理を軽く見ない
加工トラブルで意外に多いのが、「最新版だと思っていたデータが古かった」という問題です。デザイン修正が数回入ると、メール添付、チャット、クラウドフォルダに似た名前のファイルが残ります。工場側がどれを使うべきか判断できない状態は、加工ミスの原因になります。
ファイル名には、商品名、加工位置、色、バージョン、日付を入れておくと管理しやすくなります。たとえば `brand_logo_leftchest_white_v03` のように、見ただけで用途が分かる名前にします。最終承認したデータは、表の中で「承認済み」と分かるようにし、古いデータは別フォルダに移すか、使用しないことを明記します。
色指定は「本体色との組み合わせ」で見る
プリント色や刺繍糸色は、単体で見るときれいでも、本体色に乗せると印象が変わります。白Tシャツでは自然に見える黒ロゴが、チャコールでは沈んで見えることがあります。逆に、白インクや明るい刺繍糸は、黒やネイビーの上で強く見えすぎる場合があります。
色指定には、DICやPANTONE、CMYK、現物色見本、刺繍糸見本などを使います。ただし、画面上の色だけで判断せず、代表カラーでサンプルを見ることが大切です。濃色、淡色、杢色、スポーツ素材では発色や見え方が変わるため、すべてを同じ条件で扱わないほうが安全です。
位置指定は「どこから測るか」まで決める
加工位置は「左胸」「背中中央」だけでは不十分なことがあります。どこを基準にするのか、襟ぐりから何cmか、中心線から何cmか、袖口からどれくらい離すかを決める必要があります。加工会社や商品仕様によって、指定できる単位や加工できない範囲は異なるため、事前確認が必要です。
特に、縫い目、ポケット、ファスナー、リブ、脇線の近くは、加工が安定しにくい場合があります。刺繍では生地の厚みや伸縮、裏当て、肌当たりも関係します。プリントでは版のサイズ、熱圧着の跡、伸縮時の割れ、洗濯後の変化も見ます。
Tシャツ・パーカーで起こりやすいSKU別のずれ
Tシャツやパーカーは、プリント・刺繍入りSKUを作りやすい一方で、色とサイズの組み合わせが増えやすい商品です。白、黒、グレーの3色、SからXLまで4サイズを作るだけで12SKUになります。そこに胸プリント、背面プリント、袖刺繍を入れると、確認項目はさらに増えます。
たとえばMサイズでちょうどよい胸プリントが、Sサイズでは大きく見え、XLサイズでは小さく見えることがあります。パーカーでは、フード、ポケット、リブ、ファスナーがあるため、Tシャツより加工できる位置が限られることもあります。Tシャツを軸に小ロットで加工SKUを作る場合は、Tシャツの小ロットOEMとして、素材、サイズ、プリント、検品をまとめて確認すると進めやすくなります。
サンプル確認と検品で見るポイント
加工指示書を作っても、サンプル確認を飛ばすことはできません。表に書いた内容が、実物でどう見えるかを確認してから量産へ進む必要があります。
- 加工位置が仕様書と合っているか。
- サイズ違いでもロゴの見え方が不自然ではないか。
- 本体色ごとのプリント色・刺繍糸色が沈みすぎていないか。
- 刺繍の糸処理、裏当て、肌当たりに問題がないか。
- プリントの剥がれ、割れ、にじみ、色ムラがないか。
- 洗濯後に位置、色、表面感が大きく変わらないか。
- 承認サンプル、加工データ、SKU表の内容が一致しているか。
Shingeが加工SKUの整理で支援できること
欣歌服飾(Shinge)は、中国山東省青島を拠点に、日本市場向けのアパレルOEM、二次加工、検品・検針に対応する縫製工場です。Tシャツ、パーカー、スポーツウェアなどの加工入り商品では、生地手配、サンプル製作、プリント・刺繍、量産前確認、出荷前検品を一つの流れで整理できます。SKU別加工仕様表の項目整理や、サンプル時に何を承認基準にするかのすり合わせも、日本語で確認しながら進められます。
中国青島の生産背景を活かし、複数カラー・複数サイズのSKUでも、図稿、加工位置、糸色、プリント色、承認サンプル、検品項目を日本語で確認しながら進められます。一方で、加工可否、仕上がり、納期は素材、デザイン、加工方法、修正回数、繁忙期の生産状況によって変わります。早い段階でSKU表と図稿を共有いただくことで、確認すべき項目を具体化しやすくなります。
よくある質問
Q1. プリントと刺繍を同じSKU表で管理してもよいですか?
管理できます。ただし、プリントと刺繍では確認項目が違います。プリントは色、版、位置、耐久性を見ます。刺繍は糸色、針数、裏当て、厚み、肌当たりを確認します。
Q2. 加工データはAI形式だけで十分ですか?
内容によります。AIデータに加えて、PDF確認用、位置図、色指定、刺繍用データなどが必要になる場合があります。どの形式が必要かは、加工方法と工場側の条件に合わせて確認します。
Q3. サイズごとにプリント位置を変える必要がありますか?
代表サイズで確認したうえで判断します。SとXL、子供サイズと大人サイズでは、同じ位置・同じ大きさでも見え方が変わるため、主力サイズを基準に確認することをおすすめします。
Q4. 色指定はDICやPANTONEが必須ですか?
必須とは限りませんが、色の認識違いを減らすには有効です。現物色見本、過去サンプル、刺繍糸見本などを併用すると、より具体的に確認できます。
Q5. 量産前にどこまで検品項目を決めるべきですか?
加工位置、色、傾き、剥がれ、刺繍糸処理、裏当て、洗濯後変化など、販売後のクレームにつながりやすい項目は量産前に決めておくと安心です。
Q6. 図稿がまだ完成していない段階でも相談できますか?
相談可能です。商品種類、予定カラー、サイズ展開、加工したい位置、参考イメージがあれば、先に必要な加工項目や確認順序を整理できます。
まとめ
プリント・刺繍入りSKUのOEMでは、加工方法だけでなく、SKU、図稿、色、サイズ、位置、バージョン、検品項目を一枚で引き継ぐことが重要です。加工指示書を作っておけば、サンプル確認、量産判断、追加生産のときに、どの情報を基準にするかが分かりやすくなります。
プリント・刺繍入りSKUの加工仕様を整理したい方へ
図稿、SKU表、希望カラー、サイズ展開、加工位置がまだ整理途中でもご相談いただけます。小ロットのTシャツ、パーカー、スポーツウェアなど、加工入り商品のサンプル確認と量産前チェック項目を一緒に整理します。


